代表決定戦
神奈川県 １（4 PK 3）１ 埼玉県
立ち上がりから、神奈川は前線からの圧力をかけて、埼玉のビルドアップを阻止し、CKを含むセットプレーの機会をつくり得点を狙った。これに対して埼玉は、ゴール付近の攻防を集中したプレーで対応して、序盤の危険な時間帯を無失点に抑えた。
一方埼玉は、プレススピードの速さとパワーに対して、FW No.９山口太陽（FCアビリスタ→FC東京U-15むさし→FC東京U-18）の球際の強さを軸に、守備から攻撃の切り替え局面のコンビネーションで、縦へのシンプルな攻撃を仕掛け、得点に絡むきわどいチャンスを作る展開となった。
前半31分、試合が動く。CD No.６小野寺拓巳（KIDS POWER. SC→浦和レッズジュニアユース→浦和レッズユース）からハーフスペースに位置するSH No.８丹野豊芽（EC FUJIMINO→大宮アルディージャU15→大宮アルディージャU18）に縦パスが入り、山口への楔のパスへのサポートをしたMF No.15三浦悠代（大宮アルディージャU15→昌平高校※のちほど追加します）が、左サイドからカットインして、フィニッシュ。そのリバウンドをFW No.7会田光希（浦和三室サッカースポーツ少年団→浦和レッズジュニアユース→浦和レッズユース）が押し込み、均衡を破った。
神奈川は、U-16日本代表に名前を連ねるNo.3本多康太郎（湘南ベルマーレU-18）、No.6山本丈偉（東京ヴェルディユース）、No.5小杉啓太（湘南ベルマーレU-18）を中心に、サイドの高位置に、素早くボールを運ぶ展開。そこからドリブル突破やオーバーラップ、インナーラップなどのグループでの崩しを仕掛けてきたが、埼玉としては、GK吉澤匠真（浦和谷田善前サッカー少年団→浦和レッズジュニア→浦和レッズジュニアユース→浦和レッズユース）を中心としたボックス付近の守備の粘りで、前半を１－０で終えた。
後半開始より、攻撃的なパフォーマンスを見せる神奈川に対して、埼玉は冷静な対応を見せた。特に埼玉のシステムのスペースを利用して数的優位を作ろうとする相手のポジショニングの変化に対して、ベンチからの的確な指示とNo.5 MF松坂芽生（浦和谷田善前サッカー少年団→浦和レッズジュニア→浦和レッズジュニアユース→浦和レッズ）を中心とした選手の修正で対応した。
しかしながら、球際の強さと個のスケールで優位性を見せる神奈川が、ボールを保持する時間が長くなった中、セットプレー（CK）のこぼれから失点を期した（43分／後半8分）。
埼玉は時間の経過とともに、勢いを取り戻し切り替えからチャンスを作ったものの、フィニッシュに至る場面で、本多を中心とした神奈川の守備陣に阻まれ、PK戦へと突入した。
PK戦では、双方チームの選手のキックがバー、ポストに当たるなどし、最後は運が勝敗を分けたといっても良い内容であった。
埼玉U16選手、スタッフの皆さんに敬意と労いの言葉を贈りたいと思います。
今回の振り返り～成果と今後へ向けて
① まとまりのあるチーム作り
埼玉県内チームの他、今回はFC東京、東京ヴェルディ、三菱養和などの所属チームから選手が合流した。U16関東トレセンリーグと直前トレーニング（合宿形式）を経て、相互のコミュニケーションとプレーの連動性の向上が見られた。また、選手個々の特徴（強み）も発揮されていて、将来性を感じるプレーを見ることができた。
② トレーニングとゲーム
得点に繋がったプレーは、トレーニングと直結していたパフォーマンスであったこと。相手のプレー分析映像をトレーニング前に確認して、個人・グループに落とし込んだトレーニングを実施した。選手個々の判断を引き出しながら、崩しから得点へのイメージを共有したことが、今回のパフォーマンスに繋がったと感じた。
また、ゲーム中の相手の攻撃コンセプトの変化に対応した、コーチから選手へのアプローチ（状況の共有と、解決のための選手の判断基準を明確にしたコーチング）は的確で、戦術的判断が整理されたことにより選手自身がチームパフォーマンスを改善された。
③ これからの選手育成
年々、育成年代のゲームを見ているとスピード化、大型化する傾向にある。埼玉としては、このレベルでの基本的な個人技術・戦術は必要とした中での特徴（強み）を求めて行きたい。攻守におけるテクニックは、この年代までは勿論だが、これからも深く掘り下げ、磨いてほしい。加えて、それぞれのゲームシチュエーションで、必要とされる共有するプロセス（いわゆるピクチャー）や基本的なテクニックなども、まずはトレセン指導者間でも共有していければ良いのではないかと感じた。
（FAコーチ 山﨑茂雄）
U-16埼玉県トレセンスタッフ - sfa-tec ページ！ (jimdofree.com)
