「GK指導者講習会」開催

417日(月)にレッズハートフルフィールド駒場にて、「GK指導者講習会」が実施されました。今年度の埼玉県GKトレセン活動に携わる指導者が集まり、指導実践及びディスカッションを行いました。

 

講習会の冒頭には、埼玉県サッカー協会技術委員長の田中龍太郎氏(大宮南高)や、FAコーチの山﨑茂雄氏から挨拶をいただき、講習会の趣旨や意義を共有しました。主な目的は各地区から1名ずつの指導実践を行い、県内指導者のGK指導ベクトル合わせをすることや、ライセンス講習や関東・ナショナルトレセン行事で埼玉県のGKコーチが堂々と指導できるようにすることです。

 

今回も、ここ数年の実施状況と同様に5つのテーマ(シュートストップ・ブレイクアウェイ・クロスの守備・パス&サポート・ディストリビューション)の中から3つを選び、3地区で割り振りを決めてトレーニングの立案と実践をしています。今年度は「パス&サポート」、「クロスの守備」、「シュートストップ」をテーマにしました。

 

2時間弱という限られた時間の中でより濃い内容にするため、基本的にはGameは実施せず、どのテーマも「Tr-1Tr-2」のみとし、特にTr-2をメインにして実施しました。実践直後のディスカッションでは、指導者が拘ったポイントや選手の目標到達状況、疑問点、何を大事にするのかなどを全体で共有するという流れです。

 

指導実践とディスカッションともにJFAが使っている用語や指導ポイントを踏まえながら、それぞれのテーマを丁寧に確認することができていました。また今年度は浦和レッズジュニアユース(U-15GKコーチの安藤智安氏を招き、実際に指導実践を観て、浦和レッズではこのテーマやこの状況に対してどういう指導をしているのか、何を大事にしているのかなど具体的な言葉や動きでアドバイスをいただきました。詳しい内容は以下の通りです。

 

テーマ①「パス&サポート」

Tr-1「2vs2+2」/Tr-2「4vs4+1(セパレートあり)」

トレーニング前にプレーヤーを集め、①顔を上げて相手を観ること②フリーの味方を効果的に使うことを共有して開始した。キーファクターとして①パスの質(ゴロorロビング、ハードorソフト、味方の近い足or遠い足)どこにでも蹴れる位置にトラップ顔を上げて相手を観る(プレスのかかり具合でタッチ数の判断や、ボールの置き所、持ち出し方の判断を変化させる)ことが実践の中で強調されていました。

 

ゴールを背負ってプレーする、つまり1つのミスが即失点につながってしまうGKとしてのパス&サポートであるため、安全確実なプレー判断と正確なテクニック発揮が求められることや、味方フィールドプレーヤーが受ける相手からのプレスをGKが受けられるようになると、必ず味方の誰かが空くため、良い状況を作り出せるというアドバイスもありました。

 

テーマ②「クロスの守備」

Tr-1「ポジション修正+ジャンプ&キャッチ」/Tr-21FWvs1DFGK+2クロッサー」

ディスカッションでは、クロスの守備に対して苦手意識を持つGKが多いが、まずは失敗を恐れず積極果敢にチャレンジできる環境(指導者の評価や働きかけ等)を作ること。また、「この位置・距離からのクロスに対してどこにポジションをとるか」という問題に対して、安藤氏の実際に指導しているフィロソフィーを紹介していただき、共有することができた。

 

その中で、ジュニアユース年代のGKたちにも、ポジショニングについては「大人になった時のポジションを覚えさせる」という言葉は、GKトレセンでこの年代を指導していく上で大変参考になりました。

 

テーマ③「シュートストップ」

Tr-1「アングルプレー」/Tr-2「2vs1+GK

今回は単に遠くから撃たれたシュートを止めるだけでなく、相手FW1vs1(近距離からのシュート)の状況や、DFが入って味方と連携しながらゴールを守るという要素を含んだ内容と設定で行われました。

 

縦・横方向のポジショニングが的確か、キャッチするのか、弾く(ディフレクション)のかの判断や、ディフレクションはどこへするのか(ワイドに大きく、または相手のいない場所へ)、手のどこに当てて弾くのか、どちらの腕を使って弾くのが的確かなど、基本的で何となく分かった気になってしまいがちなことも含めて再確認する良い機会になりました。

 

最後に、指導実践の事前準備と当日の指導をしてくださった各地区GKトレセンスタッフの皆様、アドバイザーを快く引き受けてくださった浦和レッズジュニアユース(U-15GKコーチの安藤智安氏、講習会に参加してくださった各カテゴリー指導者の皆様、プレーヤーとして参加したさいたま市立浦和高等学校、県立浦和東高等学校、県立大宮南高等学校のGKたちに、この場をお借りして感謝申し上げます。

 

 

また今回共有できた内容を指導者・プレーヤーが各地区や自チームに持ち帰って共有を図り、今年度のGKトレセン活動の一層の充実と、埼玉から世界で活躍できるGKを育てていくことに少しでも役立つことを心から願っています。(GKトレセンダイレクター/上原克彬)