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SFAリフレッシュ講習会Cコース報告

9月30日(土)、SFAリフレッシュ講習会Cコースの第1回目が、SFAフットボールセンターで行われました。今回のテーマは「キッズ年代からの成長に応じた動き作り」。このテーマに合わせて、立教大学スポーツウェルネス学部(今年度から新設されました)学部長/教授で、JFAフィジカルフィットネスプロジェクトのメンバーでもある沼澤秀雄さんを特別講師としてお招きしました。なお今回は、講義形式2部構成としまして、リフレッシュポイントは10ポイント付与の内容としました。

★1部「SFAフットボールフィロソフィー、埼玉らしさを生かした育成とは」

FAコーチ/HOC 山﨑茂雄

 

「SFAフットボールフィロソフィー」をトレセン、指導者養成で走らせて6ヶ月が経ちました。指導者の方々の積極的な取り組みにより、ファンダメンタルフィロソフィー(個人のテクニックと判断の土台コンセプト)やプレーイングフィロソフィー(攻守切り替えの4局面でのプレー原則)は、U12~16県トレセンの現場で(U12は地区を含む)、C/B級コーチ養成講習会での実技に組み込まれ、プレーの分析やプレーのパフォーマンスに少しずつですが、着実に変化が表れてきました。

 

講義の中で、地域性や歴史に基づいた「埼玉らしいプレースタイル」をグループワークで検討していただき、意見交換をしました。そのあと、SFAフットボールフィロソフィーの中の、ファンダメンタルフィロソフィー(コントロール、パス、ドリブル、サポート他)とプレーイングフィロソフィー(ビルドアップ、プレッシング他)の内容を、この半年の中で開催した「トレセンコーチ研修会」、「チューター研修会」からスライドと映像を使って見てもらいました。

 

また、U12年代(県トレセン)のゲーム映像を見ながら育成の現場のパフォーマンスの変化を参加者の皆さんと一緒に確認しました。【つなぐ(伝統)、ハードワーク、クール、チャレンジ】の4つの価値観に紐づくコンセプトが、プレーに表れ始めているのを見ながら共有をしました。

★2部 ~子供の成長とフィジカル的なアプローチについて~

立教大学スポーツウェルネス学部 学部長/教授 沼澤秀雄

 

【講義】サッカーの対人動作の重心(低重心)と、ランニング(スプリント)での重心(高重心)の違いや、地面からの反発を利用して効率よく前に進む(ランニング)技術を習得するための継続的なトレーニングの様子をJFAアカデミー福島での取り組みを中心に、スライドと映像を使って解説していただきました。

 

そして、それらの動作をナチュラルに使い分けられるようになるには、12歳頃からこのようなトレーニングを取り入れることが、望ましいことを学びました。

 

時折、浦和レッズフィジカルコーチ時代や、JFAフィジカルフィットネスプロジェクトでのユニークな経験談に、参加者の皆さんも真剣に耳を傾けていました。

【実技】講義の後、ピッチで実際に動き作りを体験しました。最初に、肩関節を緩め、肩関節と股関節の協調動作を準備し、地面からの反発に備えました。

 

その後、ラダースティックを使ってリズムトレーニングを行いました。このトレーニングでは、音楽に合わせて様々なステップを踏むことで、参加者の皆さんは楽しみながらリズムを身につけました。

 

身体も温まり、股関節の動きも改善された後、ミニハードルを使ったハードルドリルに進みました。このドリルでは、歩き、スキップ、走りの3つのリズムでミニハードルを飛び越えました。沼澤氏はデモンストレーションを交えながら、わかりやすく指導してくれました。

 

休憩の際に、水分補給の重要性についても教えられました。サッカーにまつわる内容だったため参加者も実感しやすく、熱心に話を聞いていました。

 

ハードルドリルに続いて、ランニングドリルを行いました。ここでは、地面からの反発を最大限に利用するための身体の使い方を学びました。一部の参加者はすぐにコツを掴み、沼澤氏からも称賛されました。

 

最後に判断力を早めに鍛えるため、身体を早く動かすゲーム形式のトレーニングを行いました。このゲームで楽しみながらも真剣に取り組んでいただいたことが印象的でした。

 

90分間のトレーニングは運動量もちょうどよく、難しい部分もありましたが、実感できる成果もあったため参加者の皆さんは、最後まで熱心に取り組んでいただきました。ありがとうございました。

●次回のリフレッシュ講習会Cコースは、再度、沼澤教授をお招きして2024年2月17日㈯にSFAフットボールセンターでの開催予定です。

 

●今年度のリフレッシュ講習会は、指導カテゴリーを基礎に4つのコースが、8回にわたり設定されています。必要獲得ポイント数と合わせ、ライセンス取得後の学びの機会として利用してください。

 

SFA技術委員会は、キッズからシニアまで、すべての人がサッカーを楽しむ環境づくりに取り組んでいます。「Whole SAITAMA!」(HOC/山﨑茂雄、SFAサブチーフチューター/山本 大【日本大学】)

 

リフレッシュ研修(9月30日)に参加して

「キッズ年代からの動きづくり」ということで、立教大の沼澤先生の講義・実技を受講した。そこで感じたことを書き留めてみた。

 

現在、伊東純也(スタッド・ランス/フランス)や三苫薫(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC/イングランド)などのスプリント能力を生かした選手が活躍をし、テクニックだけでなく、ハードワークと共に走りのスピードを持っている選手の育成が求められている。

 

しかし、多くの指導者は良いキックの仕方は教えるが、良い走り方は教えない(教えられない)。がむしゃらに走らせるが、走り方の矯正はしない(できない)。「腕を振れ」とか「腿を上げろ」など分かったように指導するが、果たして走り方の技能構造の分析が出来ているのかも怪しい。「腿を上げる」ことと走りの速さは関係ないと今回の講義でも教えられたが、自分の経験や思い込みで指導していないだろうか。

 

走りの速さは、遺伝の要素があるが「フォームと筋力で向上する」と今回の講義で学んだ。であるならば、育成年代で正しい走り方のフォームを覚えさせることは、とても大切である。

 

陸上の走りとサッカーの走りは違うと言われる人も多いと思う。だから指導しなくてよいとはならない。今回の指導の中で、ボールがある時には、腰を低く重心を低く当たりに耐えられ、左右に動けるような走りをし、ボールのない時には、腰を高くスピードアップした走りをする。そのような走りの切り替えができる選手を育成したいという話があった。

 

今回の講義では「サッカー選手の走りの欠点は股関節が広がらないのでストライドが広がらないこと。足が後ろに流れることが多い」と学んだ。

 

講義の後に行った実技では、スローウォークやトロティング、トロティングからスキップ等の基本動作やハードルドリルを学んだ。そして、走りの切り替えのために、変形ダッシュのトレーニングを行なった。還暦の身体には、きつかったが実際に行うことで、見るだけではわからない身体や脚の感覚を感じた。

 

今回教わった「キッズ年代からの動きづくり」は、大切な指導内容であり、ゴールデンエイジやプレ・ゴールデンエイジの選手たちに教えることが大切だと感じた。

 

現在、SFAでは「SFAフットボールフィロソフィー」を示して、技術指導においても中核となる項目を伝えている。今回の走りの動きづくりもその一つに入る気がする。埼玉の選手は、走りがきれいとか、速いと言われるのも悪くはないと感じた。(SFA指導者養成部チューター/山原伸治)